ツーバイフォー工法と在来工法のメリット・デメリット
投稿日:2020.03.13
みなさんは「ツーバイフォー工法」と「在来工法」の違いをご存知でしょうか?
「知らないし、聞いたこともない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実はこの二つ、注文住宅を設計する際の最初の大きな選択肢となるのです。
設計や工事の契約後に工法の変更することは難しいため、慎重に検討すしたいポイントのひとつ。
どんな特徴があるのかをメリットとデメリットを元にご紹介して行きます。
ツーバイフォー工法とは?
ツーバイフォー工法とは、北米では最も一般的な工法で、アメリカではプラットフォーム工法と呼ばれています。
ツーバイフォー工法は日本独自の呼称で、使用する構造材が2インチ×4インチの木材で構成されることから(実際に使用される木材は38mm×89mmなので1.5インチ×3.5インチになります)このように呼ばれる様になりました。
建築的には日本の「在来工法」と区別する上で「枠組壁工法」といいます。
「柱」や「梁」で建物を支えるのではなく、構造用製材でつくった枠組みに構造用合板を張り付けた「パネル」で床・壁・屋根を構成して建物を支える6面体構造です。
そのため、横の揺れなどに強く地震に強い特徴があります。
ツーバイフォー工法のメリット・デメリット
●ツーバイフォー工法のメリット
- 地震や台風などの外力に負けない
水平構面と垂直構面による6面体のダイヤフラムによって、モノコックを構成して建物を支えるため、地震で加わる力や台風などの風圧力を面で分散させることができます。
そのため、耐震性に優れ、台風にも強いのが特徴。
- 気密性、断熱性、防音性が高いこと
面構造なので部材相互の密接度が高く、気密性能、断熱性能、防音性能を高めることができるんだそうです。
高気密・高断熱化することにより、省エネの対策にもなるのが特徴。
- 防火性能が高いこと
部材相互の密接度の高さは、火の回りを遅らせることができるため、防火面でも効果的。
またツーバイフォー工法で建てられた住宅は、天井と壁の内側を全て石膏ボードで耐火被覆し、各室防火を図る省令準耐火構造のため、火災保険が安くなるんです。
- 品質が安定している
マニュアルに従い、決まった本数の釘や金物を使用してパネルを製作し、現場で組み立てていく作業なので施工が簡単で熟練工を必要とせず、品質が安定しているのが特徴。
施工会社によって品質の差が少ないので、家を建てる側は安心できます。
- 工期短縮が比較的容易
工場などである程度パネル化した状態で現場に搬入することもできるので、工期の短縮が比較的簡単にできちゃいます。
「え!?もう家が完成したの?」と驚いてしまう方も多いです。
また、手組み作業も可能なので、前面道路にレッカー車が入れない都市部の狭小地での施工性にも優れているのも特徴です。
以上のようにツーバイフォー工法のメリットはたくさんありますね。
外力に対して抜群の強さを発揮すると共に、標準的に気密性、断熱性、防音性、防火性などの住宅に必要な基本性能が高いことが魅力です。
●ツーバイフォー工法のデメリット
- プランニングに制約が多いため、自由度が低くなる
壁の量や壁の配置が構造上重要になるので、比較的大きな空間が作りやすい反面、開口幅などが制限されるため、間取りの自由度は劣ってしまいます。
外壁隅角部に窓を設置したり、壁一面に大きな窓を設置したりすることなどはできず、プランニングにも制約が多くなることを知っておきましょう。
- 腐食のリスクが高くなる
気密性が高い反面、高湿度の環境下にある場合や雨漏りが発生した場合には、湿気が抜けにくく、カビの発生や木材の腐食につながる恐れがあります。
湿気や内部結露に注意すると共に、雨漏りで構造材が濡れてしまった場合には、十分に乾燥させなければいけません。
- 工事中の降雨対策が必要
下から順番に組み立てていく工法なので、1階の床と壁、2階の床と壁の組み立てが終了しないと屋根を架けることができないため、その間に雨が降ると床や構造材が濡れてしまいます。
天気に左右されるので、工事中に突然雨が降り始めたら床に撥水材を塗布する、雨養生シートを張るなど、工事中の降雨対策が必要となります。
- 将来の間取り変更リフォームが難しい
竣工後のリフォームによる間取り変更や間仕切り壁の撤去の際には、壁量計算や耐力壁の配置の検討などが必要になり、基本的に増改築には不向き。
将来、壁の撤去や移動、窓・ドアの新設などのリフォームは難しくなります。
- 木の癒し効果は期待できない
パネルで面を構成するので木材を露出させたデザインを施すのが難しく、木の調湿効果や癒し効果は期待できません。
- 建物の延命が困難
建物全体の寿命は、構造体が釘や接合金物類の寿命に依存することになるので、延命対策が困難です。
また歴史が浅いため、建物の寿命については未知数と言われています。
- 対応できる住宅会社、工務店などが少ない
ツーバイフォー工法には独自の基準があるため、たとえ在来工法の施工実績が豊富でも、ツーバイフォー工法にも対応できるとは限らないんです。
建築できる会社が限られてしまうのが現状。
その理由は、ツーバイフォー工法は徹底的な構造解析から生み出された工法だから。
構造理論が確立しているため信頼度は高いのですが、その反面、設計・施工の際には様々な基準(指針)があります。
壁量計算や耐力壁の配置の検討の他、釘やビス、金物、構造用製材の種類から釘やビスの打ち込み間隔に至るまで、マニュアルに従って忠実に設計・施工を行うことが重要になってきます。
特に間取り変更等のリフォームを行う際には、ツーバイフォー工法を熟知した業者に依頼することが必要ですので、家を建てたい場合は、ハウスメーカーや工務店に事前に確認するようにしましょう。
在来工法とは?
在来工法とは、古くから日本の木造建築で使われていた柱と梁を組み上げた伝統的な工法を発展させたもの。
木の柱と梁で組み上げていき、斜めに留める「筋かい」という材を使用して接合部には金物を使い強度を高めているのが特徴なのです。
在来工法のメリット・デメリット
●在来工法のメリット
- 施工できる工務店がたくさん
日本で古くからあり最も普及している工法なので、施工できる工務店がたくさんあるのです。
そのため、工務店の選択肢が広がり、多くの選択肢の中からより良い工務店を選ぶことができます。
- 構造や間取りの自由度が高い
柱と梁を組み合わせた工法なので、間取りや構造の自由度が高いのが特徴です。
室内に家自体を支えるための耐力壁を少なくすることができるので広いリビングなどを設けることも可能。
注文住宅のようなこだわりのある家づくりをしたい方にはピッタリの工法ですね。
先ほどご説明したツーバイフォーでは開口部を大きく取ると強度が落ちてしまう場合があるのですが、在来工法は柱と梁で支えているため開口部を大きく取ることができるようです。
それによって、大きな窓などを設置できるので採光や通風を確保しやすくなり、家の中に光がたくさん入ります。
- リフォームなどに適した可変性
間取りの自由度が高いため、リフォームやリノベーションを将来する際に間取りの変更や増築が比較的簡単に出来るのも特徴。
この先何十年も住み続けていく中で家族構成の変化などで間取りの変更などをする際にはこの可変性の高さは大きなメリットになりますよね。
●在来工法のデメリット
- 工期が長い
先ほどお伝えしたように、システム化、マニュアル化されたツーバイフォー工法は工期が短いのに対し、在来工法は柱や梁を組み上げていくのに時間がかかるため工期が長くかかってしまうのです。
工期の目安としては規模や条件などにもよりますがおおよそ6ヶ月程度はかかると思っておきましょう。
- 費用が多くかかる
工期が長くなるということは、その分の大工の手間料も大きくなりますよね。
他にも、ツーバイフォー工法と比べると材料費などの費用も高くなってしまう場合があるようです。
- 大工の技術により仕上がりに大きな差が出る
大工の経験や技術の差が出やすいのも在来工法の特徴です。
技術差により住宅の質が大きく左右されるので、技術力のある工務店を選ぶことが重要です。
こだわった家づくりをしたいという方や木造住宅にしたい方には在来工法は向いていると言えます。
まとめ
家づくりにおいて、ツーバイフォー工法と在来工法、それぞれのメリットとデメリットがあることがわかりました。
でも、どちらの建て方が自分の理想の家にとってベストなのかわからない・・・。そんなときは、マイホームの窓口でお家づくりの相談をしてみませんか?
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